水耕栽培で二十日大根を20日間で育てます。はたして上手くできるでしょうか?

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 数年前に水耕栽培で二十日大根を育てたことがあります。てっきり20日間で小さな大根ができるのかと思いきや、実際は収穫までに30~40日くらいかかりました。暖かい時に育てたのですが成長が思っていたよりも遅く、少し残念な気持ちになりました。
 その時はA4サイズの水切りカゴと受け器を使い、バーミキュライトを入れたプラカップで育てました。もしかしたらこの装置構成では早く育たないのかもしれません。そこで今回はいつも使っている水耕栽培装置と電気の力を利用して、「本物の」二十日大根を育てることにチャレンジしてみようと思います。

 

 

 

 まずは二十日大根の「二十日」の定義をします。私なりに解釈をすると、

・《二十日》は四捨五入をした日数と考えると、最長24日間は育てることができる
・種を蒔いて双葉が開いた日を1日目とする

になります。この通りに育てるとなると、収穫日は7月22日前後になります。この日はちょうど週末ですので、写真を撮りながらゆっくりと収穫ができそうです。
 今回の栽培は3週間で育てなくてはならないので、文明の力を使ってできるだけ早く成長をさせます。その力とは「LEDデスクライト」です。夜や曇、雨の日にはLEDの光を太陽代わりにすることで、より早く育成しようという魂胆です。光を当てる面積の都合上、育てる株は1つだけになります。今回は実験的な意味が強いので、収穫量はあまり気にしないことにします。
 購入した「赤丸二十日大根」は赤い色をしていますが、本当はノーマルな白いものにしたかったです。しかし100円ショップには赤いタイプしか売っていませんでしたので、今回はこれを育てることにしました。それでは実験開始です。

 

 

2018年6月26日 水耕栽培装置の紹介 & 種蒔き

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 通常、私が水耕栽培をする時には5Lの容器を使って3~6株の野菜を育てます。しかし今回は1株なので、700mLの容器を利用してコンパクトな水耕栽培装置を作りました。大まかな作り方は下の記事と同じですので、見て頂ければと思います。

  ちなみに今回はお茶パックの代わりに、マイクロファイバー布巾を使いました。また液体肥料には、微粉ハイポネックスを水道水で1000倍に希釈したものを使用します。
 最後に種蒔きの方法になります。まずバーミキュライトを液肥で湿らせます。ここに深さが5mmとなるように5粒ほどの種を埋めました。この時点ではまだ装置に液体肥料は入れずに、発芽するのを待ちます。

 

2018年6月28日 芽が出かける

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 種を蒔いてから2日後の夜になりました。二十日大根の種は発根して、双葉が頭をのぞかせています。

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 今は夜なので太陽の光はありません。そこでLEDデスクライトを使って昼間の環境に近付け、できるだけ成長を促進させます。今回の栽培では夜は基本的にLEDライトを当てます。曇りや雨の場合は、場合により昼でもLEDライトを使って育てる予定です。
 ただ単にデスクライトの光を当てるだけでは、二十日大根がいない空間にも光が拡散してしまい効率が悪いです。そこでアルミ蒸着シートを筒型にしたものの中に水耕栽培装置を入れて、光を照射しています。こうすることで光が反射し、より明るい状態にすることができます。

 

2018年6月29日 発芽(発芽から1日目)

 双葉が完全に開いたので、この日を「発芽1日目」とします。またこのタイミングでカップの底面が浸かるように、装置の中に液体肥料を入れました。残念なことに写真を撮るのを忘れてしまいました… 

 

2018年6月30日 1回目の間引き(発芽から2日目)

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 翌日になると双葉は完全に開き、葉もずいぶんと大きくなりました。種は適当にパラパラと蒔いたので、少し密集しています。

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 そこで発芽に失敗した株や育ちの悪い株を間引きしました。次回の間引きは本葉が出て、株同士の葉が触れ合った頃にする予定です。

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 梅雨が開けて気温が30℃を超える日が続いています。直射日光が液肥層にあたると、きっとお湯になってしまうでしょう。そこで液温が上がり過ぎるのを防止するために、アルミホイルで装置を覆ってみました。もしかしたらアルミホイルのキラキラを嫌って、アブラムシが寄り付かなくなる効果もあるかもしれません。

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 二十日大根の根の成長は早く、今まで育てた野菜の中で最も早く液肥層に達しました。根の成長が早いと地上部も大きく育つ傾向があります。今後の成長に期待です。

 

2018年7月2日 本葉が出る(発芽から4日目)

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 双葉の間から本葉が見えてきました。また今まで育てた植物とは違い、茎の部分が赤く色付いています。きっとこの部分が太る箇所なのでしょう。

 

2018年7月4日 2回目の間引き(発芽から6日目)

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 双葉もある程度大きくなってきましたので、本日2回目の間引きを行いました。

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 3本の中から葉の成長度合いが良く、さらに茎が太いものを残しました。収穫まであと2週間しかありません。ここからどんどん成長していってほしいです。

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 ちなみに、茎の部分が少し膨らんできました。

 

2018年7月6日 本葉がはみ出る(発芽から8日目)

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 ここ数日は曇りや雨の日が続いています。そのため1日中LEDライトを当てていますが、人工の光でも植物はちゃんと育ってくれています。今では葉がカップからはみ出るくらいに成長しました。

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 根は徐々に分岐が多くなってきています。

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 二十日大根の画像を検索してみると、葉が6~10枚で収穫されることが多いようです。今現在、株の中央部分から2セット目の本葉が見えていますので、葉の合計6枚になります。あと1週間ほどで葉の枚数はそろいそうですね。

 

2018年7月8日 双葉の先が枯れる(発芽から10日目)

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 前回よりも本葉が少し大きくなっているような気がします。またその付け根からは新しい本葉が見えてきました。

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 真夏の日差しを浴びたからか、双葉の先が縮れてしまいました。やはりLEDデスクライトで育った葉には、この強烈な太陽光は強すぎたのかもしれません。

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 二十日大根の大根部分は太くなりつつあります。急に成長したからか、表皮に割れができてしまいました。しかし太くなったとはいえ、まだ収穫できる大きさではないです。残り10日と少しですので、スピードアップをして頑張ってほしいです。

 

2018年7月11日 明らかに太くなる(発芽から13日目)

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 発芽から約2週間、つまり全行程の2/3が過ぎました。縮れていた双葉は緑色が抜けて、枯れかかっています。もう復活する見込みはなさそうです。
 今まで夜はLEDライトを当てていましたが、葉が大きくなり装置に入らなくなってきました。二十日大根はある程度まで育ったので、これから普通の栽培のように昼は太陽光を、夜は星の光を当てていきます。

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 株の大きさは思っていたほどではなく、カップからはみ出るくらいのコンパクトなサイズとなっています。

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 肝心の大根部分の太さはどうでしょうか。この3日間で一気に成長をして、小指の先くらいの太さとなりました。もしかしたら期日前に収穫できちゃったりするかもしれません。

 

2018年7月16日 根が赤くなる(発芽から18日目)

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 今日で発芽から18日目となりました。徐々に20日へと近付いています。
 葉はあまり広がらず、コンパクトに育っている印象を受けます。他の人が育てた二十日大根の画像を検索すると葉が大きく成長しています。やはり二十日大根を20日で育てると葉は大きくなりきれないようです。

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 大根部分はどんどん太くなってきており、今では人差し指くらいの大きさとなりました。

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 根を確認したところ、今まで白かったのが1本だけ赤く色付いてきています。種袋の写真をみると、この大根は下の部分まで真っ赤です。きっとその色素が根にもやってきたのでしょう。
 今週末が二十日大根の収穫予定日なので、これが最後の成長中の写真になりそうです。果たしてちゃんと「二十日」大根ができているのか、収穫が楽しみです。

 

2018年7月19日 親指の太さまで成長(発芽から21日目)

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 前回「最後の成長中の写真~」と書きまししたが、さらに大きくなったので報告をします。遠目で見ると葉に大きな変化はありません。

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 しかし大根部分は、人差し指から親指の太さにランクアップしました。ほぼ完成形と言っても過言ではありません。収穫まであと2日です。まだ大きくなるかもしれませんね。

 

2018年7月21日 収穫&試食(発芽から23日目)

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 本日発芽から23日目を迎えましたので、予定通り収穫をします。その前にまずは全体から見ていきましょう。
 葉は思ったよりも伸びず、コンパクトな姿となりました。液肥を入れている容器の幅が13cm、つまり手を広げたくらいですので、その小ささが分かるかと思います。何となく、樹木を小ぶりに仕立てる盆栽のように見えます。

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 葉は緑が濃く、この部分を食べるには少し固そうな印象を受けました。葉には長さ1~2mmの毛が生えており、触るとチクチクして痛いです。

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 葉の観察をしていたら蕾を見つけてしまいました。トウ立ちをしてしまうと、実の部分にスが入ったり、食味が悪くなったりします。今回は花が咲くよりも収穫する方が早くて良かったです。それにしても、こんなに早く蕾が付くとは思いませんでした。 

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 大根部分は親指よりも少し大きくなりました。地上に出ている部分はシワ模様が入っていたりして、あまりきれいな肌をしていません。

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 根は細いですが、育てた期間の割には量が多いです。

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 それでは育てた二十日大根を抜いてみましょう。地上に出ている部分をつまんで引っこ抜きます。

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 スポッと抜けるはずが、根張りが良すぎてバーミキュライトごと取れてしまいました。そこで手でバーミキュライトを崩してから水洗いをします。

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 「本物の」二十日大根が収穫できました。

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 大根部分はこんな感じになっています。地上に出ていた部分は深紅、バーミキュライトに埋まっていた部分は白縞模様がある鮮やかな赤色になっています。種袋の写真のように均一な赤色になるかと思いきや、グラデーションや差し色があるものになってしまいました。
 横方向に走っている白い模様は、もしかしたら急激に成長したせいでできたのかもしれません。均一で鮮やかな赤色にするには、地上に出てくる部分はバーミキュライトを追加して隠し、そしてもう少し時間をかけて育てればできるのかなと思います。
 まあ何はともあれ、約20日で大根が収穫できたのは素晴らしいことです。どうせならばこの大根を輪切りにしてみましょう。表面は赤いですが、中まで色が入っているのでしょうか?

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 というわけで横半分に切りました。表皮から数mmが赤く、それより内側は白色です。

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 写真を拡大して分かったことがあります。この赤色は内部に行くに従って徐々に色が薄くなるわけではないようです。赤色と白色は境界線で仕切られており、その線から内側には赤色はありません。
 大根のことを調べてみると、この境界線を《形成層輪》と呼び、その内側が《木部》、外側が《師部》となっています。そのためこの赤色は、師部にある細胞によって作られているのかもしれません。

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 ではお待ちかねの試食になります。皮をむいて薄い輪切りにしました。この形になると赤色と白色のコントラストが映えますね。早速食べてみましょう。口の中にこの一片を入れて噛むと…

「フォー!辛い!」

という声が自然に出てしまうほど辛かったです。鼻に突き抜ける辛さで、まるでワサビです。こんな薄いにもかかわらず強烈な味ですので、1株を丸ごとかじった時には口と鼻が大変なことになります。後で分かりましたが、冬に育てた大根と比べて、夏のものは辛味成分が多くなるとのことです。
 食べ方としては、薄く切ってサラダに入れると良さそうです。緑色の野菜の中で赤色がアクセントとなるでしょう。しかし間違ってもスティックサラダ風に食べてはいけません。とても、とても大変なことになってしまいます。もしそのように食べるならば、冬に育てた大根を使いましょう。

 

まとめ

  それでは今回のまとめになります。

・二十日大根は約20日で収穫することができました。この期間で収穫できたのは、一番成長する気候だったからと思っています。夏以外では20日間での収穫は難しいかもしれません。

・急いで成長させたせいか、大根の肌があまりきれいではありませんでした。売り物ではないので気にはしませんが、次はもっとキメが細かい、均一な赤色の二十日大根にしたいです。

・収穫した二十日大根を食べてみると、非常に辛かったです。これは夏に育てたからで、辛くない大根にするには冬に種蒔きをすると良いそうです。

 

 二十日大根を20日で育てる作戦は成功に終わりました。まさか本当に20日で収穫できるとは思いもしませんでした。ただ、見た目はあまり良くなく、味はワサビのように辛い大根になってしまったのが残念です。しかし期間内に収穫できたことが重要なのです。

 20日間で二十日大根ができるのであれば、小学生の夏休み期間でも十分に育てることができます。今回のように蕾が付いたらそのまま花を咲かせて観察すれば、立派な自由研究になるでしょう。いろいろな種類の二十日大根を育てて、その違いを見るのも良さそうですね。

 これで今回の栽培は終わりになります。次回は冬に育てて、本当に辛さはなくなるのか試してみたいです。